クラウドファンディングのプロジェクトは目標金額に達しましたが、そんな中でも、飼育放棄はひたすら続きます。
以前から電話でやり取りしておりましたが、実際に会うと、思う所が多いです。
1件目は、ご自身が持病で、長期入院するから・・・と。一次保護ではなく、里子に出してもよいという完全なる保護で、1歳なのに誕生日も「書類を見て下さい」とあまり大切にしている感がないので、どこまで本当かはわかりません。
2件目は、親御さんが末期がんで入院することになったのですが、娘さんが飼えないので保護してほしいとのこと。こちらは、12歳の子だったので、親御さんが大事に飼っていたにもかかわらず、親の「負債」を自分たちで「処理」しなければいけないという面倒さが随所に出ていました。
今日は保育園にお迎えに来ていた常連さんも同じ時にいたので、様子を見ていたようですが、愛犬家からすると信じられないことが多々あります。
これまで使っていたサークルやお皿を持ってくる方もおられますが、本当に何も持ってこない方が多いです。
サークル一式持ってこられたケースでも、寝床であるクッションがない。持ってきたお皿も、洗った形跡がないくらい汚れている、それを入れてきた箱もほこりがたまっている、ノミダニ予防薬は去年のものが入っている・・・愛犬家の方からすると、ちょっとあり得ない状況です。
僕たちはこういうことに慣れっこになってしまっているので、怒りもわきますが、「持ってくるだけマシ」です。
実際、ここを出たとたん「捨てられてよかったね」とニコニコ顔で会話して帰っていく人たちもいます(娘が目撃しました)。
僕たちはある部分、麻痺しなきゃやっていられないのですが、犬への愛情がないことは今さら変えられないにしても、人として、「そこは礼儀としてちゃんとしないのか?」と疑問に思うことはあります。
ですが、飼育拒否する方に共通するのは、こういった、一般のマナーというのも乏しい方が多いように感じます。
犬のご近所トラブルが起きて飼育拒否というのもあるので、当然かもしれませんが、本当に、「外面」は良くても、礼節を知らない方が多いように思います。
他にも、飼育拒否する方に共通しているのは、都合の悪いことは隠すことです。
受け取りを拒否されたくないので、病気のことを言わない人も多いです。
犬を飼っていない人でも、ほぼ白い目をしていれば異常を感じるはずなのに、「目が見えない」ことをこちらが言うまで一言も言ってこないこともあります。指摘してはじめて「そういえば、病院であまり見えていないかもと言われました」と他人事のように言い出すのです。
・・・こういう人にとって、犬はやはり「物」でしかなく、「生命(いのち)」ではないのです。悲しいことですが。
また、「親が与えていたので…」とアレルギー療養食のフードの残りを持ってこられましたが、アレルギー症状がどうなっているか全く知らない、なんてことも。アレルギーが命にかかわることもあるなんて今どき常識なのに。
しかも、病院のホテルに預けていたのに、何を食べていたかまったく疑問に思わない。なんならそのことを聞けば、「病院は預けていただけなので!」と逆ギレ・・・。
愛犬家の方からすると、信じられないことでしょう。
ですが、これが、テレビで映されない、飼育放棄の現場です。
飼育放棄される方は、バレるようなウソを平気でつきますし、常に「自分はいかに被害者か」ということを、聞いてもいないのに話してきます。
「○○だから・・・」「○○のせいで・・・」色々な事を言ってきますが、保育園に来る愛犬家の方と、根本的に違うことを言ってるので、そらぞらしく聞こえてきます。
時には、「毎月お金を持ってきます」とも言ったりしますが、ほぼすべて、その場しのぎで言ってることがほとんどです。
そう断言できるのは、本当の愛犬家であれば、そんなことはしないからです。
愛犬家なら、「この子が困らないように」と考えて行動しますが、飼育拒否される方には、根本的にこの発想がありません。
だから、結果として、飼育拒否したくなるような「問題行動のある犬」「誰も引き取り手がない犬」になっているのですが・・・そこを顧みることもありません。なぜなら、全部「自分のせいじゃない」からです。
こういう人は、犬を飼う資格がありません。
犬は、人間よりも小さく、立場も弱い存在です。
だから、自分の選択したことすら責任を持てない人は、犬は飼ってはいけないのです。
だから僕たちからその方々に言うことは「二度と飼うな」と言うだけです。
むしろ、僕たちの気持ちはその犬に向かいます。
こういう子たちを、ここで保護できてよかったな、と思います。
ここなら、
叩かれることもないし、
清潔な環境で生活が出来るし、
安心して寝ることができるし、
遊んだり散歩に行くことも出来るし、
ちゃんとご飯も食べさせてもらえるし、
甘やかされて糖尿病になることもないし、
人と生活する喜びを知ることもできる…。
「動物愛護」だけが先走りして、「保護ビジネス」も出てきました。
譲渡先がすぐ見つかる子犬だけ保護する、寄付金だけ集めて、適正な活動を続けていないこともあります。愛護センターも、飼育拒否の「拒否」はしますが、結果、行き場のなくなった犬が、「ジモティー」に出て、それでも老犬や病犬は売れ残りますから、行き場を失う・・・。
この犬たちと、愛犬家の家で飼われている犬は、何が違うのでしょう?
それは、犬が悪いのでしょうか??
僕たちは、こういった犬たちの「気持ち」を常に考えます。
とにかく「殺処分ゼロ」にすればいいと、数分の散歩をする時以外はクレートに入れっぱなしにすることが、犬のためになるのかと言えば違うはずです。犬が喜びを感じながら、まして老い先短い犬であればなおさら、幸せを感じながら暮らしてほしいと思います。
ここでは、犬も人も幸せを感じながら暮らしてほしい。
僕たちも、犬が幸せになれるのを見て幸せな気持ちになります。
そのために僕たちは、毎日必死に活動しています。
ですから、皆さんのご支援・ご協力が、本当に助けになるのです。