DOG DUCAは、人と犬のより良い共存ができる社会を作るために、2001年に誕生しました。
困っている飼い主さん、ワンコのため…
当時はペットブームで犬を飼う人が増えた反面、飼い方に困った人がたくさんいました。ドッグトレーナーである髙橋は、その現状をなんとかするために、そういった飼い主さんに「正しい犬のしつけ方」を教え、ワンコには「ドッグトレーニング」をしてきました。
しかし、世の中には正しいしつけ方を知らない飼い主さんが多く、また、ちゃんとしたトレーニングを受けていない不幸な犬たちが、「吠えるから捨てたい」「咬みつくからいらない」と飼育拒否されて、動物愛護センターに連れて行かれて殺処分されてしまう現実がありました。
そこでDOG DUCAはそれを防ぐべく、2001年より犬の生命を救う保護活動をはじめつつ、さらに、「飼い主さんに正しいしつけの方法を知ってもらいたい!」「犬たちに正しい社会化トレーニングをする場所が必要!」との想いで、2006年に「犬の保育園」である【わんわん保育園DUCA】を立ち上げました。
2010年には保護活動部門を動物愛護団体として法人化し、【NPO法人 DOG DUCA】が誕生。
「もう飼っていけない」という飼い主さんの悩みと真っ正面から向き合い、飼い方やしつけのアドバイスをしたり、わんわん保育園での社会化トレーニングをしたりしながら、飼育放棄を水際で防ぎつつ、実際に飼育放棄されてしまった犬たちの保護も行っています。
DOG DUCAの事業体制
DOG DUCAは、犬の保育園やしつけ、ドッグトレーニング、トリミングサロンなど【わんわん保育園(株)】と犬の保護活動やそれにともなう里親探しや譲渡、啓発活動を行う【NPO法人DOG DUCA】の両輪で、「人と犬のより良い共存」社会を目指します。
なお、NPO法人DOG DUCAの動物愛護活動には行政からの支援は一切なく、【わんわん保育園】事業の売上(寄付という形)と、支援者さまからの寄付金、支援物資のみで運営資金を捻出し、「破綻しない愛護活動」を続けておりますが、運営が苦しいのが現実です。
保育園やトリミングの利用も、保護活動につながりますので、より多くの犬たちが幸せに暮らせるよう、皆様からのご協力・ご支援をお待ちしております。
DOG DUCAの歴史(※長文です)
DOG DUCAは、代表である髙橋と、一頭のミニチュア・ダックスフントのDUCA(デュッカ)との出逢いから始まりました。
元々髙橋は、当時人気だった名古屋のステーキチェーンに勤め、その後「自分の作った料理で人を喜ばせたい!」という想いから独立して、プロ野球選手や有名人も通う隠れ家的居酒屋を開業し人気を博し、トントン拍子で店舗を拡大。周りにも自分を慕う人が集まり、3号店の出店の話を持ちかけられた時も、何も疑わず話を進めていきました。
数日後、その話を持ちかけてきたのが実は、当時ニュースにもなった【集団詐欺】だったことが判明。
結果【多額の借金】が残り、常連も友人も引き潮の様に離れていき、人生の絶望を感じ、悔しくて、淋しくてたまりませんでした。
「心の淋しさを埋めたい」という気持ちから犬を飼おうと思い立ち、ペットショップを回ってみると、どこも高く到底出せない金額。
立ち寄った本屋で見た雑誌で初めて【ブリーダー】という存在を知り、「M・ダックス産まれています(格安)」という文字に惹かれ、直ぐに伺うと4頭の赤ちゃんが、一斉に走ってきてくれました。
その中で、1番後ろをステンステンよろけながら走ってきたのが、【DUCA(デュッカ)】でした。
それから僕とデュッカの生活が始まりました。
デュッカとの出逢いから、犬の世界へ
多額の借金を返済するため、深夜2時から昼頃まで中央卸市場で働き、昼は自作の弁当をオフィス街で売り、夜はワシントンホテルのフロント係と駐車場整理で働きました。
デュッカはいつも車で待ち、僕が扉を開けると飛びついて来てくれ、市場で凍えた指先から心まであたたかくなる生活になりました。借金取りも来るような日々でしたが、デュッカがいたので、いつしか淋しいという気持ちはなくなっていきました。
だから当時、仕事の合間のデュッカとの散歩が、僕の唯一の楽しみでした。
そこで、デュッカを通し、それまでは全くの無知だった「しつけ」「病気」「殺処分」など犬を飼っている人にしか分からない【犬の世界】を初めて知りました。
それと同時に、世の中には【犬の仕事】というものがあり、デュッカとずっと一緒にいたいと思っていた僕は、「これしかない!」と思い、トリミング・訓練士の資格取得を決意。
仕事の合間に、1日1頭を連れてトリミング練習へ通い、受講料2,000円という価格で教えて頂き、毎日通い続けトリマー試験に合格。
次は訓練士の資格を目指す為、警察犬訓練所へ何度も何度も申込みに行き個人レッスンをこちらも2,000円でして頂ける事になり、毎日通い続け警察犬訓練を学び、ショードッグハンドラー・公認訓練士の試験に合格!
その後、少しずつトリミングと出張トレーニングを始めていきました。
新たな転機と出逢い
どうしてもお店を構えて「しつけ相談」をしたいと思っていた僕は、当時話題となっていた、若手クリエイターのための【さくらアパートメント】と出逢い、早々申込みをすると「動物はダメ」と断られましたが、何度も懇願して「外の駐車場の片隅なら」と、ついにΟΚをもらいました!
ここに、デュッカとずっと一緒にいられるお店、犬のことで困っている人の駆け込み寺となるお店、【DOG DUCA】が誕生したのです。2001年のことでした。
クチコミがクチコミを呼び『DUCAに行けば、犬の相談に何でも乗ってくれる』『しつけの方法を教えてくれる』と、有難いことに多くの人がお店に来てくれました。
ちょうどその頃、さくらアパートメントの近くに【名古屋コミュニケーションアート専門学校】が、新しく開校。
「人と犬との共存生活」をテーマにしている、DOG DUCAの噂を聞きつけてくださり「講師として来ませんか?」と、僕に声を掛けて下さり・・・まさに【運命の出逢い】でした!
しかし、一度人生を失敗している自分が講師をして良いものだろうか・・・と悩みました。
すると、声を掛けて下さった担当の方が「これからの未来を担う子供達に、夢を伝え、過去のあらゆる経験もふまえた人生の事も教えてあげて欲しい」と、おっしゃってくれたのです。この時の言葉が、僕にとって、どれだけ嬉しかったことか・・・あの日の事は、今でも鮮明に覚えています。
僕の学校での担当教科は、ドッグトレーナー育成から始まり、行動学・栄養学・洋服等の制作ドッググッズ・アニマルセラピー犬育成・・・と、有難いことに増えていきました。
わんわん保育園DUCAの誕生
ドッグトレーナーとしての仕事をすればするほど、【犬に社会性を身に付ける事】【飼い主さんに、正しい接し方を知って頂く事】が、犬のしつけ以上に重要だと感じるようになりました。
そのためには、犬のしつけ・犬と人とのより良い共存生活を実現できる場所が、まずは必要だと考えました。
そこで2006年に誕生させたのが、
【わんわん保育園DUCA】です!!
場所は繁華街の中区栄から、スペースのある守山区に移転してスタートしました。
おかげさまで、わんわん保育園DUCAには、毎日たくさんのワンコ達が通園してくれる様になりました。ここで社会性を身につけることで、心のバランスを取り戻して穏やかに暮らせるようになったワンコ、そしてその飼い主さんの笑顔を見るのが、スタッフ一同にとって何よりの喜びでした。
NPO法人 DOG DUCAの立ち上げ
僕が犬の仕事を始めた頃は、ペットブームということもあり、ペットショップで簡単に生命が買えるようになり、無知なブリーダーや飼い主が増えていった時期で、動物愛護センターには、「いらなくなった」犬や猫が大量に持ち込まれ、そして殺処分されていました。
僕はそんな現状を憂い、その当時から僕は、高齢者が亡くなって飼っていけなくなった犬や捨てられて放置されていた犬、虐待に遭っていた犬などの保護活動をしつつ、殺処分そのものをなくすため愛護センターに「何とか引き取らせてほしい」と直談判しに行っていました。
そんなある日、特別に殺処分予定の犬を収容した檻、そして殺処分機の中に入らせてもらい、その現実に愕然とし、大声で泣き叫びました(詳しいいきさつは拙著『ころんでも、まっすぐに!』に書かれています)。
僕は我慢がならず、座り込みを敢行。
ついに責任者も折れ、癌だらけのマルチーズ(下の写真の子)を引き出すことに成功しました。白毛だったので【雪】と命名し、すぐに手術を受けさせ、そこから5年、僕の飼っているデュッカを含む家族の犬たちと一緒に幸せに暮らすことができました。
そこから、名古屋市が「譲渡ボランティア」制度を始めたため、公的に愛護センターから犬を引き出せるように、組織化することが必要となりました。
そこで2010年に生まれたのが、
【NPO法人 DOG DUCA】です。
犬の殺処分ゼロの実現
NPO法人DOG DUCAが誕生した当時、愛護センターには、「咬みつく」「吠える」「引越しする」「費用が掛かる」等、【人間の都合】で捨てられた犬たちが連日のように連れて来られていました。
特に「咬みつく」「吠える」というのは、ドッグトレーナーに言わせると、しつけ・トレーニングすれば解消する問題です。しかし、こういった理由で殺される生命がある・・・僕は、こういった、他の愛護団体さんが手をあげづらい、こういった犬を真っ先に保護することにしました。
時間がかかる犬もいましたが、ここでのトレーニング、保育園に通園する犬やここで保護している犬たちと接することで、社会性を身につけ、幸せにしてくれる里親さんの所に送り出せました。DOG DUCAと、他の愛護団体の譲渡ボランティア活動により、2016年に、ここ名古屋市では、ついに【犬の殺処分ゼロ】が実現しました。
動物はむやみやたらに攻撃しません。犬が咬んだりするのは、本来、そうさせてしまう人間のせいなのです。
犬に社会性を身につけさせず、正しいルールも教えて来なかった人間の・・・だから、DOG DUCAでは、【犬の保護活動】だけでなく、飼い主さんへの【啓発・啓蒙活動】も積極的に行っています。
捨てる行為を阻止すれば、そもそも殺処分されることもなくなるからです。
だから我々は、犬の保護活動だけでなく、「犬のことで困った!」「もう、飼っていけない!」という飼い主さんと日々向き合い、正しい飼い方を伝え、犬と幸せに暮らせる可能性がある場合はそれを応援し、幸せにすることができない飼い主さんの場合はこちらで保護する活動を行っています。
理念~人と犬のより良い共存のため~
DOG DUCAは、【人も犬も、共に幸せになれるように】ということを常に考えています。
というのも、犬は基本的に群れで生きる動物ですから、家族と一緒にいることが、犬にとって一番の幸せだからです。
だから、我々は、飼い主さんと暮らせるのだったら、最後まで飼い主さんと暮らせるように、飼い方のアドバイスをしたり、犬の状態に応じたトレーニングを行います。社会性がない犬の場合は、【わんわん保育園DUCA】に通園してもらって社会性を身につけさせたり、そこでトレーニングをすることもしています。
犬は、かけがえのない、人間のパートナーです。
僕には、デュッカというパートナーがいました。
デュッカは2013年8月2日、肺気腫で突然亡くなりました。13歳でした。
生命は、尊く、はかないものです。
でも、だからこそ、今、目の前の犬を幸せにしてあげること、それがひいては人間自身の幸せに繋がることだと、僕は実感を持って言えます。
僕は、デュッカと出逢って、幸せでした。
僕をこの世界に導き、多くの生命を救えたのも、デュッカと出逢ったからでした。
だから、ただ「犬と楽しく遊ぶ」、ただ「生命を救う」、ただ「殺処分をゼロ」にする、ということだけではなく、そういうこともすべてひっくるめて、人と犬が、幸せに暮らせるよう、より良い共存ができるような社会を作れるよう、DOG DUCAはこれからも活動してまいります。
それが、デュッカが我々を導いてくれた道だからです。
わんわん保育園DUCA(株)・NPO法人 DOG DUCA代表
髙橋忍
※ここに書かれている歴史の詳細については、髙橋の半自叙伝、『ころんでも、まっすぐにー犬に救われたドッグトレーナーが見つけた〈生命〉をつなぐ道-』に詳しく書かれております。