4歳のミニチュアシュナウザーの男の子を保護しました。

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最初は電話で、「子どもが犬アレルギーになったから保護してほしい」という内容でしたが、子どもだけじゃなく大人もアレルギーになってしまい、触れるのはアレルギーの無いご主人だけ。
アレルギー反応が出てしまうのでサークルに入れっぱなしで、散歩も行かない、吠えて困る・・・など、悪循環の状況でした。(一日中サークルで散歩も行かなかったら吠えるに決まっていますが・・・)。

人間側のアレルギーだけではなく 、そのシュナは、「アカラス」という皮膚病を患っており、一生服薬が必要な状態とのこと・・・。

「アカラス」というのは、様々な原因により、動物の皮膚には必ず存在する「ニキビダニ」が異常繁殖することで脱毛症状が出る皮膚病ですが、人はもちろん、他の犬に感染することはありません(人のニキビダニである「顔ダニ」が犬に感染しないように)。

子犬ほど発症しやすいのですが、初期ならステロイド剤の投与で体質改善すればほぼ百%完治すると言われていますが、成犬になってからでは薬が効かず、一生、服薬と、低刺激のシャンプーが必要になります。

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終生保護しているMダックスのミルク。「アカラス」で全身の毛が抜けています。

「アカラス」は遺伝的な要素や飼育環境、母犬に耳ダニが居ると発症します。ちゃんとしたブリーダーなら、発症するかどうかすぐわかりますし、もし遺伝的性質がある犬を飼いたいと希望した人がいても、ちゃんと治療が必要なことを説明します。

しかし、残念ながらそうでないブリーダーもいます。そのまま市場に出し、飼い主は何も知らないままペットショップで買ってしまう・・・この子も、ペットショップで買ったということですので、そういった要因があったかもしれません。

ただ、ペットショップで買うなら子犬の時ですから、皮膚トラブルがあったならば病院で適切な治療を行えば、完治していたかもしれません。

その辺りを確認すると、最初はフケがよく出るので動物病院に連れて行った所、獣医から「環境が変わったストレスだと思う」と言われたので、そのまま治療しなかったとのこと。

1年間放置した結果「アカラス」と診断されてしまったようで、その時点で完全に成犬になっているため、根治は手遅れとなったのです。

皮膚治療が必要な状態での「保護」ということは、食事など以外にも治療費がずっとかかるわけですから、里親を見つけるのはかなり難しい。現に薬代や治療費で毎月2万円前後かかっていると聞いてました。
DOG DUCAで保護しても、写真に出したMダックスのミルクと同様、一生ここで面倒を見ることになるかもしれません。

飼い主さんにはその旨を伝え、毎月ある程度、薬や治療費を払っていただくことができるか聞いたところ、お金がかかることに難色を示されました。

でも、病気持ちの犬を無償で引き取る愛護ボランティアはありませんし、センターに持ち込めば、一生治療が必要な犬は殺処分対象になることが多く、その件を伝えましたが、それでも「一度考える」と電話を切られました。

しかし、いつもそうなのですが、電話を切ったあと、数日はその子のことばかり考えてしまいます。

「どうなったんだろう?」
「山に捨てられたりしていないだろうか?」
「殺処分されるセンターに連れて行かれてないか?」

・・・結局、後日、気になって電話してしまいます。

シュナの飼い主さんは、あれから他にいろいろ電話してみたそうですが、案の定、「病気があれば引き取れない」と言われたそうで途方に暮れている様子。

人の気持ちよりもそのシュナの子のこれからの未来が気になり引き取ることにしました。

狂犬病予防やワクチン接種はしていると言っていたので、信頼がおける動物病院で診察し直して治療を始める費用として「最低3万は持ってきてください。それ以上は犬に対してのお気持ちで」とお願いして、引き取ることに・・・結論から言うと、文字通り最低限の気持ちでした。

そして、狂犬病予防接種やワクチンの証明書も持ってきてもらうようにお願いしていましたが、確認すると「2年前」のもので、今年も接種したと聞いていましたが証明書が無く、してないと考える方が自然です。

ワクチン、狂犬病の注射だけでも1万円かかります。それに血液検査や皮膚検査等々・・・。

愛犬家の方からすると、これで家族と一生別れることになるというのに、「これはないんじゃないのか?」とも思われるかもしれませんが、よくあることと慣れてしまっている自分がいます。これが、飼育拒否の現実です。

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保護したシュナのアカラス症状。そこまでひどい状態ではありません

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。

そんなこんなで保護したシュナの子に、奇跡が!!

同じミニチュアシュナウザーの子で、わんわん保育園DUCAにもその子を通わせてくださっている方にこの話をしたところ、「ウチで引き取りたい」「治療もしていく」と!

ここから車で45分くらい離れているところからわざわざ通われている方で、すでにシュナを4頭飼われていますが、すぐに引き取りにいきたいと。

相性の問題があってはいけないので、実際に保護したシュナと、飼われているシュナの相性チェックをさせました。

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右が保護したシュナです。問題なく挨拶して遊んでおりました

相性も問題なしで、里親さんが「新しい名前も考えてきた」と教えてくださったので、送り出すためのシャンプーをしている間に、急いで名前入りの首輪とリードも作ります!

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「幸福」を意味する「Feliz(フェリス)」になりました

元の飼い主さんから手渡された治療費ですが、すぐに里親さんが決まったのでそのままお渡ししたのですが、「ウチの子の分はウチで払うから、他の保護犬たちのために使って!」と返されました。・・・この差!!

いつもいつも、「自分たちが癒やされたい」がために犬を飼って、それが上手くいかないと手のひらを返すように捨てていく、身勝手な飼い主をたくさん見ています。

ですが反面、クラウドファンディングにご協力いただいたすべての方を含め、こういう、「動物たちのために何かしてあげたい」「命を救うために何かしたい」と思える里親さんや支援者の方たちがいるから、僕たちも活動を続けていけるのです。

不幸な犬が幸せになり、里親さんも幸せになり、それを見る僕たちも幸せになれる・・・いつまでもそんなDOG DUCAでありたいと思います。

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新しい里親さんの所で幸せになってね!

後日、里親さんがフェリスを信頼できる動物病院に連れていったら、フードを優良なものに変えて、ストレスのない生活、週1回のシャンプーでアレルギーの原因となるフケは改善していく、完治も可能性があるだろうと診断されたそうです。

もう少し病気の知識があれば、ちゃんと治療のタイミングが合っていれば… 何かが違っていたのかもしれません。 でもフェリスは、今は新しい里親さんの元で「Feliz(幸せ)」になっています。もちろん我々もシャンプーや社会性トレーニング等々全面的に二人三脚で行ってゆきます。

残った子たちにも、新しい里親さんの元で「Feliz」が訪れますように!!