○○○病院の相談室から電話
「男性独り暮らしの方が入院し快復は不可能です。自宅に犬がいます」
「愛護センターに相談したが、『所有者がいるなら身内等何とかならないか……』」と言われ、
「殺処分だけはしたくないので、こういう時はどうしたらいいのでしょうか?」とドッグデュッカに。
聞けば、飼い主の方は生活保護を受けている。
身元保証人の人が、今月の5日と12日の2回はフードだけは置いてきた。
犬種も年齢も男の子?女の子?も解らない。状態も解らない。との返事。
すでに1週間たっている……。
直ぐに現地へ向かいました。
相談員の方とカギを開けて室内へ……すでに生活もままならないような状態だったのが目に見えるような部屋です。
今まで、こうした放置された子を保護した時は『助けてー。待ってましたー』と玄関に走り寄ってきますが、来ない!
うっ!間に合わなかったか!と頭をよぎりましたが、中に入ると
ムクッと頭を上げたパピヨン!
生きてた~~~!
しかし、見れば、足が壊死を通り越しミイラ化し、骨が見えていました……
目も全く見えていない。真っ赤になっている。
とにかくすぐフードを少しあげたら食べてくれました。
そして、すぐに抱きかかえ、信頼できる〈もりやま犬と猫の病院〉に!
診断結果は、
足は切断
目は摘出が必要
とのこと…………わかっていたことではありますが、もっと早く来ていればと思わざるをえません。
しかし、手術をしようにも、食事も充分足りていなかったので、重度の栄養失調と貧血。
少しでも体力をつけないと、オペができない。
もちろん輸血もしながらになります。
それにしても、一週間に一度フードをやりに来ていたという話ですが、どれだけの量だったのか、どこまでが本当だったのかはわかりません。
たとえ大量のフードを残したとしても、犬は、満腹中枢がないので、あればある分一気に食べてしまい、それは当然すぐ消化されてしまいます。だから、一週間に一回フードをあげたら足りなくなるのは人間と同じなんだから・・・だからでしょう、このパピヨンは、自分で足をかじって食べたりしたのです。
自分の足を噛み続け、肉がなくなり、骨がむき出しになり、空腹や不安によるストレスもあったことでしょう、噛み続けていた影響か、骨も割れていました。
この子は、生きることを考え、必死にやり続けていたのです。
戻らぬ飼い主を待ちながら、今の劣悪な環境の全てを受け止めて。
足がいつ折れてもおかしくない状態ですから、まずはこのまま入院し、オペができる状態に回復させます。
真っ赤な目、ガリガリの体、痛々しい足……まずは、体力の回復を待ちます。
※
以下は保護処置前のミイラ化した足の写真です。
刺激が強いので見る場合はお気をつけください
以下は保護処置前のミイラ化した足の写真です。
刺激が強いので見る場合はお気をつけください
先週『志村どうぶつ園』でここの保護犬のトリミングが紹介されましたが、最近は高齢者が限界まで飼い続けた結果、劣悪な環境で放置されてしまう犬の保護が後を絶ちません。
でも、会議に参加している、現場にいない人たちの話の中に、こういう子が救われるような話が一切ないのが悲しい現実……もちろん、現場の人間として、納税者として、言いたいことは思いっきり言ってきましたが、なんかモヤモヤ……。
名古屋市は犬の殺処分ゼロを達成して4年。
昨年末に愛護センターの殺処分機が撤去され、一区切りがつきましたが、それでも猫の殺処分(薬殺)は続いているし、「人と犬のより良い共存」ができる社会へのほんの一歩進み始めた程度。
生命を尊び、不幸な犬が、不幸な飼い主がなくなるような、「絵に描いた餅」ではない、ペット共生のあるべき姿を、やはりDOG DUCAとして追いかけなければいけない使命を強く感じた一日でした。
そして明日もまた、複数頭の保護に行きます。
なお、この子をはじめとする保護犬への医療の支援については、下記の方から受け付けております。
また、NPO法人DOG DUCAでは、「高齢者と高齢犬が支え合える」社会の実現のため、8歳を超える高齢犬を保護し、65歳以上の高齢者に譲渡する「シニアドッグ・サポーター」制度を行っております(名古屋近隣に限る)。
この子のように、高齢者の方がムリをして飼い続け、状態がひどくなる前に、ご相談下さいませ。