​現在、READYFORにてクラウドファンディング実施中のため、活動報告を転載させていただきます。

7月30日に始まったこのプロジェクトも、終了まであと残り10日となりました。

ここで改めて、

シニアドッグ・サポーター制度

そして

ネクストゴール1,000万円

にかける想いをお話しさせてください。

シニアドッグ・サポーター制度の5年間

DOG DUCAの【シニアドッグ・サポーター制度】は、2019年10月に始まりました。

このクラウドファンディングのプロジェクトが終了する頃に、ちょうどまるまる5年が経過することになります。

9/16現在、この制度で譲渡した高齢犬は96頭

高齢ですので、活動報告でご紹介したダンのよう譲渡先で虹の橋を渡った子は何頭もいます。

しかし、里親さんの方が先に面倒を見られなくなった、ということはありません

今のところ、1頭もです。

僕たちに驚きはありません。

なぜなら、この制度を始める前から、僕たちは高齢者に高齢犬を譲渡してきたからです

高齢者に譲渡してきた理由

DOG DUCAは「マッチング譲渡」にこだわっています。

その中で、高齢者に譲渡した保護犬は何頭もいました。

専門学校でアニマルセラピーを教えていた関係で、高齢者施設へ保護犬を連れて行ったときに、高齢者が元気になった姿をたくさん見てきたというのもあります。

若い方でも、突然の病気や失業などで飼えなくなった犬を何頭も保護して来たのもあります。

だから、マッチングさえ間違わなければよいので、「年齢」を里親の条件とすることはなかったのです。

それよりも大切なのが、

「この子のために」

と思える方かどうか。

ここに来る子は、他には行けなかった子がほとんど。

この子たちは、二度と不幸になってほしくない。

だからこそ、「絶対に幸せにしてくれる」と確信できる人であるかどうかが第一で、年齢で線引きしないようにしています。

それに、そういう方に託せば、

体調や状態を見ながら散歩したり

健康管理もしっかりみてくださります。

「この子の為にも頑張らなきゃ」

と、犬だけでなく自分の健康にも精一杯気を配るようになるため、よほど突発的な病気にならない限り、愛する家族の腕の中でいつか来てしまう時を迎えていけるのです。

「高齢犬と高齢者」は理想的なパートナー

実際、譲渡した里親さんたちは、「散歩に行くようになって、公園での会話が増えた」「犬友だちと再び会えるようになった」「常に体を動かすようになった」「家でも犬に話しかけて、一日中言葉を発しない日がなくなった」など、一緒に暮らすことで新たな生きがいを持てるようになったと、口々におっしゃいました。

また、犬の方から見ても、高齢者と暮らす方がいいことはたくさんあります。

飼育放棄される高齢犬の多くが、高齢者と暮らしていた犬です。

ここにたどり着くということは、飼い主は他の家族と疎遠なことが多く、そういう方にとって、愛犬は「たったひとりの大切な家族」なのです。

孫以上に甘やかす方もいらっしゃいます。

一日中抱っこしている方もいらっしゃいます。

そういう生活をしてきた子を、たとえば共働き世帯の所に譲渡したら、留守番も多くなるし、子どもの生活リズムに合わなくて、その子にとってストレスになります
場合によっては吠えたり咬んだりするようになるかもしれません。

仔犬なら、環境に慣れていきますが、なかなかトレーニングも難しい歳だったりするし、なにより余生を穏やかに過ごしてほしい

だから、できるだけ以前と近い暮らしが出来る、高齢者の方がベストなマッチングとも言えます

「高齢者に譲渡」することは団体にもプラスになる

それに、これまでたくさんのワンちゃんと暮らしてきた経験のある高齢者は、病院通い、看取りの経験も豊富で、保護犬に何かがあっても、安心です。

何かあればすぐに病院に連れて行ってくださいます

そして僕たちの方も、たくさんの保護犬の子達と向き合っているので、その子だけにずっと、つきっきりということは出来ません。自分だけを愛してもらえて愛情を一人占めできます。旅行に連れて行ってもらったりもできます。

つまり、高齢犬、高齢者、そして施設にとってもメリットが多い


だから、僕たちは高齢者にも譲渡をしてきました。

ですから、あえて【シニアドッグ・サポーター制度】として始めたことで大きく変わったことといえば、メディアに取り上げられて、

「高齢犬の里親になりたい」という人、
「高齢犬を引き取ってほしい」という人、
「DOG DUCAを応援したい」という人が増えたことくらいで、

保護犬たちが高齢の里親さんのもとで幸せになったという事実は、昔から変わっていません

それなのになぜ、あえて【シニアドッグ・サポーター制度】を作ったのか?

それには保護のステージの変化、という背景があったからです。

活動の転機となった「殺処分機の撤去」

2019年の夏、ある出来事がありました。

それは、名古屋市動物愛護センターの「殺処分機(ドリームボックス)」の撤去が決まったことです。

「殺処分機」は、狭い金属の箱に何十頭ものワンちゃんたちが一斉に押し込まれ、窒息死させられていた、いわば「殺処分の象徴」です。

そのちょうど10年前の2009年、当時は愛護センターから犬を引き出せない時代、僕は実際にその中に入らせてもらいました。

(*詳しいエピソードはコチ

殺処分機の中で泣き叫び、「犬を連れ帰れないなら帰らん」とストライキを行い、初めて、センターから犬を救い出せた場所でもありました。

その時に保護したマルチーズの雪。全身ガンだらけだったが手術して5年生きました

そして、翌年に【譲渡ボランティア制度】ができ、僕の活動も法人化。
DOG DUCAや他のボランティアさんたちの手でどんどん引き出され、里親さんに譲渡される仕組みができ、2015年には殺処分寸前だったヒカルを保護し、その翌年に名古屋市動物愛護センターは「犬の殺処分ゼロ」を達成

殺処分機の撤去式ではお花も

それ以降、殺処分機はずっと使われず、文字通りホコリがかぶったままとなっていました。

そしてついに、「ふるさと納税」で集まった資金を使い、殺処分機を撤去することが決まったのです。

心境の変化と保護の変化

殺処分の象徴がなくなる!

それは、僕が長年、いろんなところで語り、時には鼻で笑われてきた目標、「殺処分ゼロ」が実現したという意味でもありました。

もちろん、名古屋市以外では相変わらず殺処分が行われており、引き取りの依頼はひっきりなしに来るので、活動をやめるということはありませんでした。

しかし、自分の中で、「とにかく、まず生命を救うんだ」と燃やしてきたエネルギーが、行き場をなくしてしまっていたのも事実です。

全国的にも保護活動をする団体が多数出来、いろいろ課題はあるにしても、現実、殺処分数がゼロに近づいていっていたからです。

保護を始めた2001年から2018年までに犬の殺処分数は21万7千頭から8千頭まで減少
環境省HP「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況より

団体としても、ちょうどその頃、「保護する子が変わって来たな」という時でもありました。

かつては、僕がドッグトレーナーということもあって、「吠える」「咬みつく」という犬の保護が5割以上を占めていました。

しかし、この頃はそういった案件が半分くらいになり、逆に、「高齢者が飼えなくなった」という犬の引き取りが最多の3割を占めるようになってきたのです。

背景には、動物愛護法の改正、愛護センターの引き取り拒否が拡大、一般の方の保護活動の認知が高まったなど、様々な保護にまつわる時代の変化を受け、「愛護センターに連れて行くと殺処分されるので、それだけは避けたい」と連れて来られる子が増えたというのもあります。

保護活動が「殺処分ゼロの次のステージ」に変わって来たことを肌で感じ、DOG DUCAとして新たな目標をどうすべきかと考える時期でもありました。

(後編へ続く)

※本記事は転載です。
現在、2025/9/26までREADYFORにてクラウドファンディングを実施中です。
目標達成に向け、ご支援よろしくお願いいたします。