突然「里親になりたい」というご夫婦が来られました。
DOG DUCAでは譲渡会をしていないので、突然の来訪者も珍しくはありませんが、まずはお話を詳しく伺ってから、犬と引き合わせるかどうするかを決めることにしています。
聞けば、高齢者が飼えなくなったマルチーズを引き取って一緒に暮らしていたそうなんですが、18歳で亡くなってしまったそうです。
お二人とも悲しみに暮れて、ご主人の方は「こんなツラい想いをするならもう飼えない」と思っていたそうですが、奥さんが毎日ツラく悲しい顔をしている方がツラくなってしまい・・・
そこで、名古屋で譲渡会があることを知り、「飼っていたマルチーズの子と似たような子と縁があれば・・・」と想い、はるばる和歌山から名古屋まで来たのですが、そこでは縁がなく、誰かにDOG DUCAのことを聞き、こちらに来たそうです。
それを聴いて、「タダだから」とか「カッコいいから」とかではなく、この人たちは本当に、「家族としての犬」を探していることが伝わりました。
そして、そのマルチーズの子の、性別や体重や性格や仕草、高齢者の方が飼えなくなったからという話など、聞けば聞くほど、「うん?マルチーズのコロにそっくりじゃないか!?」と思ったのです。
マルチーズのコロ
兵庫県から名古屋に来たマルチーズのコロ
さっそくご夫婦にコロを会わせてみました。
すると、ご夫婦の目に涙が・・・
DOG DUCAは譲渡会をしません。
譲渡会をしないのはあまりにも非効率なので、他の愛護団体さんからは「よくやるね」と言われることもありますが、その分大事にしているのは、「この子は本当にこの里親さんの元で幸せになれるのか?」ということを考えながら、里親希望者を、よく見ること、そして、よく感じること。
そして、最終的には犬に選んでもらいます。
愛護団体は、たいがいどこでも、「審査」があります。
ここでもありますが、僕はそれ以上に、飼い主さんの「ハート」の方を重視して見ます。なぜなら、僕たちの譲渡で、その子の運命が決まるからです。
だから、いくらお金があっても、「この子を幸せにしたい!」という想いが感じられない人には、「申し訳ないですが・・・」とお断りさせていただいています。
あくまでも僕たちの役割は、大切な命を里親さんにつなぐ“架け橋”なので、中途半端にはしたくない。
それに、保護活動をはじめて16年、たくさんの犬を譲渡をしてきましたが、人と人との出逢いにも運命があるように、人と犬との出逢いにも運命があると感じることがたくさんありました。
だからこそ、人と犬の、一生の付き合いを、書類だけで終わらせたくはないのです。
話を戻します。
コロに逢ったお二人の姿を見て、確信しました。
「このご夫婦であれば間違いなくコロを幸せにしてくれる!」と。
いっしょに暮らしてきた飼い犬が亡くなるのは、家族を亡くすことですから、とてもツラいことです(僕もデュッカを亡くした時はとても・・・)。
犬は人と違って会話ができないから余計、亡くなってから「ああしてやればよかった」「こうしてやればよかった」と思うことがより強く出てくるように思います。
でも、だからこそ、身勝手かもしれませんが、新しい「出逢い」によって、人が救われることもあるし、その犬自身にとっても、救われることもあると思います。
まして、コロは一緒に暮らしていたおじいさんを亡くしてツラい想いをした側ですので、コロのことを「幸せにしたい」と強く想う人たちと暮らしたほうが絶対にいい!
この出逢いは、その、亡くなったマルチーズの子(トム)が、悲しみに暮れる二人のことを想い、その悲しみを取り除こうと、遠く和歌山から名古屋のDOG DUCAまで導いてきてくれたからこそ生まれた出逢いのようにも感じました。
だからすぐに、お二人にコロのことをお願いすることを伝えました。
・・・とはいえ、コロもまだ点眼が必要で(一生の病気じゃなかったです)、まだ譲渡を考えていなかったので心の準備もないまま、慌てて譲渡の手続きをしたり、シャンプーをしました。
前にシャンプーしてそんなに経っていませんでしたが、いきなり遠くに行くことになったし、出来るだけのことをしてあげたい!!
他にも、いつものように首輪やリードを作って、トイレトレーやトイレシート、ドッグフードやおやつもたくさん持たせて、里親さんに引き渡しました。(これも他の団体さんから「よくやるね」と言われますが、してあげたいのです!!)
関西から来たコロが、関西に帰ることになるのも運命でしょうか・・・
ここで保護した子は、全員ウチのコだと思っています。
だから、里子に出せた時は「よかったな」と思うと同時に、さみしさもあります。
それでもやっぱり、一番嬉しく想うのは、新しい里親さんの元で幸せそうにしている姿を見る時。
でも、今回のコロのように遠くに行ってしまうと・・・と思っていたら、朝から早速、お礼のメールが来ており、コロの写真もついていました。
幸せになったね!
メールによると、先住犬がジェリーだったこともあって名前は「ブッチ」に改名。最初はウロウロしていたものの、今は奥さんの使っている座椅子が気に入ったようでまったりしているとのことでした。
ブッチはまだしばらく点眼が必要で、目ヤニがすぐ出るんですが、写真を見てもきれいに拭かれていましたから、ブッチにとって僕たちが、いい里親さんへの”架け橋”になれたんだな、とホッとしました。
他の子たちにも、素敵な出逢いがありますように!!
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