今日は、クラウドファンディングプロジェクトページにも紹介されている、ドーベルマンのヒカルについての話を。

もう、3年前の話です。

DOG DUCAと同じ守山区の住宅で飼われていた、体重50キロの、オスのドーベルマンが、飼い主がゴミ出しのために扉を開けたスキに、外に飛び出して、合計4人を咬んでしまうという事件がありました。

全国ニュースでも報じられたため、東海地方以外の方もご存知かもしれません。

警察も愛護センターも出動し、数時間後に捕獲されましたが、「その後をどうするか?」という議論となりました。

人を何人も咬んだドーベルマンです。普通でいけば、「殺処分やむなし」でした。

しかし、高齢で、この時に脚を骨折してしまった飼い主の方も「殺処分だけは避けてほしい」と言い、譲渡ボランティア制度のある名古屋市動物愛護センターは、愛護団体に「誰か保護できないか」という連絡をしました。

そこで手を上げたのが、僕たち、DOG DUCAです。

僕たちは、しつけがされていない犬たちを保護してトレーニングし、里親に譲渡する活動をしています。そこでわかったのは「犬は悪くない。悪いのは人間だ」ということ。

人間が、犬たちに正しい方法で、正しい行動を教えていないからこそ、人間たちの言う「問題行動」を起こすのです。犬たちの心を見てないからです。

このドーベルマンにしても、体重50キロの成犬であるにもかかわらず、飼い主が高齢者ということもあり、散歩に出たこともない。それでは、外に出たとたん、パニックになるに決まっていますし、怖くて噛むのも、犬からしたら自然な行動です。

だけど、それを知らない人からすると「凶暴なドーベルマン」でしかありません。しかし、ドーベルマンが本気で噛めば、人を殺すことだってできます。それが、みんな「軽傷」で済んだのは、「凶暴なドーベルマン」じゃない証拠です。

それなのに、「殺処分」なんてとんでもない!!

しかし、外に出たことがないような子です。当然、人馴れもしていないので、連れ出すまでに何度もセンターに通い、色々な方法を使って関係値を築きながら、外に連れ出すことに成功しました。

この時は、テレビなどのメディアが多数密着していましたので、連れ出す前日はとても緊張して眠れませんでした。それは僕がメディアに注目されるからではなく、メディアの見ている前で僕が噛まれたりしたら、すべてが終わるということに、です。

僕が噛まれたら、この子は「更生不可=殺処分」を意味するからです。

そんな心配もありましたが、いざ、外に連れ出すと、ドーベルマンは歩けることに喜び、僕にも抱かれるようになりました。そうです、これが、この子の生命が助かった瞬間です。この模様は、全国ネットで紹介されたりもしました。

でもそれより、殺処分寸前の生命を救えたことが、本当に嬉しかった!!

そして、このことがきっかけで、日頃から応援してくださっている市議会議員の方が、この件を市議会で議題にあげ、行政が本腰になることで「殺処分ゼロ」が加速し、この年に初めて、名古屋市は「犬の殺処分ゼロ」を達成したのです!!

それから今まで、犬の殺処分は行われておらず、ついに今年、「ドリームボックス」と呼ばれる、炭酸ガスで窒息死させる殺処分機の撤去が決まりました

すべては、この、ドーベルマンの保護がきっかけです。

それから、この子には、元々あった名前を、「光り輝く未来が訪れますように」ということで、ヒカル という名前に変えました。

ドーベルマンは、警察犬にもなる頭の良い犬です。しかし、ヒカルはまったくトレーニングされていないので、一からトレーニングし、散歩も行けるようになり、指示(コマンド)にも従うようになりました。

しかし、里親に行くとなると、色々と問題がありました。

一度、ドーベルマンを複数頭飼っている、有名な成功者の方が「保護したい」ということで、大きな庭のある家にヒカルを連れて行ったのですが、ヒカルは見た目とは裏腹にとても臆病な性格で、先住犬の「The・ドーベルマン」たちにビビってしまい、譲渡とはいきませんでした。

また、近所の方が保護してくださることになったこともありましたが、問題を起こし、結局戻ってくることにもなりました・・・。

アニマルコミュニケーターの方に聞くと、ヒカル自身は、「ここが自分の居場所だ」と考えているとのことだったので、それ以上、ヒカルにムリをさせて譲渡することもせず、ここで暮らすことにしてもらいました。

50キロの立派な体格のオス犬ですが、内面はチワワかと思うくらい臆病な性格です。穏やかに暮らすことが、ヒカルにとっての幸せであれば、それでいいかなとも思います。

ここで何百頭も犬を保護し、譲渡してきましたが、「この子はすぐ里親に行くな」というのは大体わかります。犬自身もそれがわかっているのか、そういう子は、必要以上、我々にベタベタしません。

ですが、ヒカルはとても僕に甘えてきます。たぶん、そうできる存在が、彼には必要なのでしょう。体が大きいとか、犬種がどうとか、そういうことじゃなく、犬の「心」を見てあげることが大切だと思います。

人と同じように、犬にも、その子その子の幸せがあります。

僕たちは、それを大事にしたい。

だからヒカルは、一生ここで保護していきます。

DOG DUCAは名古屋の市街地にあるので、敷地にドッグランはありませんが、車に乗って河川敷まで行ったり、雨の日や暑い日は、2階のトレーニングルームがヒカルの遊び場になります。

2Fのトレーニングルームは、保護施設としては決して狭いわけではありませんが、ヒカルや、他の大型犬の子が一緒に遊んでいると、他の子が遊べなくなってしまうので、どうしても使う時間が限られてしまいます。

なんとか室内でももっと走り回れるようにしてあげたいですし、小さな子たちは小さな子たちで遊べるようにもしてあげたいので、今使っていないスペースを広げる意味でも、なんとか改修費を集め、冷暖房完備な2つ目のトレーニングスペースを作ってあげたい!!

「殺処分ゼロ」のきっかけとなったヒカルのために、なんとか皆さまのご支援をいただけたらと思います。なにとぞ、よろしくおねがいします!!